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歩行③股関節外転筋群

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歩行における股関節外転筋群の役割は?

歩行において股関節を外転方向へ活動させる筋肉は3つあり、中殿筋と大腿筋膜張筋そして小殿筋です。

中殿筋の活動には2つピークがあり、初期接地から荷重応答期そして立脚中期にかけて活動します。大腿筋膜張筋および小殿筋は初期接地から荷重応答期にかけての活動および立脚中期から立脚終期にかけて活動します。

それぞれの違いは?

初期接地から荷重応答期にかけての活動は下肢を中間位へと保持する回旋の作用および側方への動揺の制御を行っています。初期接地から荷重応答期にかけて、床反力により下肢外旋方向へのベクトルが働きます。そのため、中殿筋や小殿筋などの股関節外転筋により内旋方向へ引き寄せ、下肢を中間位へと保持します。

立脚中期での活動は、主に中殿筋の活動が優位となり、骨盤を水平へと保持する役割を果たしています。立脚中期では、床反力によって骨盤に対側へ回転させるベクトルが働きます。それを中殿筋の遠心性収縮によって制御します。

 

股関節外転筋群の活動が低下すると

股関節外転筋群の出力低下により起こる異常歩行は、有名なトレンデレンブルグ徴候およびデュシャンヌ徴候です。特に大腿骨頸部骨折や転子部骨折ではよく臨床で見かけられます。医療の技術は進歩しており、筋の損傷は最小限に留められます。それでも多かれ少なかれ股関節外転筋群は損傷します。

荷重応答期から立脚中期にかけて、上記の跛行がみられる場合があり、歩行相において原因筋も異なります。特に荷重応答期から跛行がみられる場合は、中殿筋よりも大腿筋膜張筋や小殿筋に原因があることが多いです。

歩行相のどの時期に跛行がみられるか観察し、原因を突き止めるようにしましょう。

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