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病院でリハビリとして働いています。日常のことから趣味、医療や健康のことについて語っていきます

歩行①股関節伸展筋群

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股関節伸展筋群は歩行のどこの相で働き、どのような役割を果たしているのか?

セラピストに聞いたとき、答えられる人が少ない現実にがっかりしました。セラピストとして働いているのであれば最低限、歩行の筋活動とその役割についてしっかりと知っていてほしいものです。

股関節伸展筋群は1歩行周期を0-100としたとき、0-20(踵接地から荷重応答期)にかけてと、90-100(遊脚終期)に最も活動します。

股関節伸展筋群の役割は?

股関節伸展筋群のなかでも大殿筋は、遊脚期終期で遠心性収縮をしています。役割としては振り出している下肢の股関節屈曲運動を減速させ、踵接地時に体重を受ける準備をしています。理由としては、踵接地時は身体からみて相対的に地面が後方へと移動しているので、それと同等の速度で股関節を伸展させないと、床反力前後成分である減速力が増大し、歩行速度の低下をきたしてしまうからです。また、大殿筋は踵接地から求心性収縮により、身体を支え前方への推進力となります。

股関節伸展筋群の筋力低下ではどのような異常歩行がみられるか?

股関節伸展筋群の中でも大殿筋の役割は大きく、特に踵接地時に果たします。踵接地時、踵は地面との摩擦により固定されています。この際、大殿筋の求心的な活動がなければ体幹は慣性により前方へと傾斜してしまいます。この現象をジャックナイフ現象と呼び、大殿筋の筋力低下をきたした方の歩行ではこの現象が観察されます。

踵接地時、床反力は体幹の後方を通過し、体幹を前方へと回転させるモーメントとなります。これに拮抗するために、大殿筋の収縮により反対方向への関節モーメントを発生させ、制御しています。

このように、股関節伸展筋群は歩行において、下肢の振り出しの制御や身体を支える重要な役割を果たしています。

 

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